大仏パラダイスの世界
1章
人類が滅んで数千年、世界はペンギンが支配していました。
このペンギンたち、雑食に進化しています。
寒いところでも生きていけますが、温かいところを好みます。
そう、まるで人間のように。
外見だけがペンギンで、あとはほぼ人類と同じという種族。
頭脳も人間並みに進化していました。
彼らは今、大寒波のせいで種族存続の危機がせまっていました。
そんな時代のお話。
くぅちゃんはこの時代のペンギンとしてはわりと普通の好奇心旺盛なペンギン。
”なにか食べ物はないかなぁ~”
”3日は食べてないんだよねぇ”
くぅちゃんは呟きました。ご飯探しのために少し遠くまで、足をのばしてきたのでした。
この先は、神聖な場所だから行ってはいけないことになっています。
”誰も行かないってことは食べ物が手つかずであるってことだよな。じゅるる”
ヨダレを垂れ流しながら、先に進みます。
あたりをキョロキョロしながら、慎重に進みます。
”神聖な場所といったって、別に何か奇想天外のものがあるわけではないだろう”
無駄足だったかな、という気持ちになりかけたとき、
”顔がある!”
目の前に現れたのは目があり鼻があり、口がある、大きな像でした。
それはペンギンの顔ではありません。
はるか昔に滅んだと聞いている人間という種族ではないか、間違いあるまい。
”神聖な場所というのは、この像があるからみたいだな”
くぅちゃんの好奇心は増すばかりです。
”しかしデカい”
“人間というのはそんなに大きい生き物なのだろうか。”
”こんな10メートル以上もある種族だったら滅ぶよなぁ”
誰も、くぅちゃんのピント外れな推測を責めることはできないでしょう。
だって、くぅちゃんは人間なんて種族をみたことはないのだから。
”SETと書いてある箱がくっついている。その中に見たことがある絵が書いてある。
ひょっとすると電池が入るのかな”
くぅちゃんは電池を知っていました。
電池は、くぅちゃんの村に伝えられている、オーパーツでした。
電池だけが大切に受け継がれてきたのです。
“村の電池はこの像のためのものみたいだな”
くぅちゃんは、夢中です。
“文字も書いてある”
“あれ?読めるよ、この文字”
不思議なことに文字が読めました。人間の使っていた文字がペンギンたちに
受け継がれてきたのか、それは今は分かりません。
“このでっかい像は大仏さま、というらしい…”
“こっちにも文字がある、なになに… パラダイスへ導く…大仏さま”
電池をセットすれば、大仏さまがパラダイスへ導いてくれる、
きっとそういうことだと直感で確信したくぅちゃんは、電池を取りに急いで村に戻るのでした。
この大仏さまが世界に大変革をもたらすことを、この時のくぅちゃんは知るよしもありませんでした。
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