ニャオニャオ21世紀

アイデア。レトロゲーム(MSX、PCエンジン、ファミコン、メガドライブセガサターン)と、MSXのゲーム開発と、最新ゲーム(PS4、SWITCH)、身体(身体意識など)、ライフハック、電子工作ほか雑記を綴っています

ライトノベル 大仏パラダイスの世界 最終章

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最終章

 

“暖かいのっていいよなぁ~”

くぅちゃんが3体目の大仏さまを充電したところです。

 

雪は溶け始め、畑も出来始めました。

建築物も出来始めました。

 

それはまるで、くぅちゃんが世界を温暖な気候に変えていったために

広まった繁栄でした。

 

“このままいったらどうなるんだろうなぁ”

くぅちゃんは満足気です。

 

“どんどん暖かくしてやる!”

くぅちゃんはまだ気づいていませんでした。

世界が温暖化に向かっていっていることを。

 

それは、4体目の大仏さまを充電しているときに起きました。

大仏さまがいつもと違うことをおっしゃったのです。

“あなたはやり過ぎました。これから世界は砂漠化するでしょう”

 

“なにそれ?暖かくすればするほどいいんじゃないの?”

“砂漠?”

“どういうこと?”

 

くぅちゃんはパニックです。

今世界は、高層ビルが立ち並び、繁栄の頂点に達しているかのようでした。

それをやりすぎた、だなんて。

 

“そんなはずはないよ“

“暖かければ暖かいだけ素敵な世界になるよ”

くぅちゃんは大真面目です。

寒波の時代に生まれたくぅちゃんには砂漠というものを見たことも聴いたことも

なかったのです。

 

みるみるうちに世界は変わっていきます。

どんどん気温が熱くなり、砂漠化していきます。

ビルは崩れ落ち、草木は枯れ果てました。

 

くぅちゃんは大仏さまに泣きつきます。

“大気調整システムなんでしょ?涼しくしてよ!”

“ぼくが悪いんじゃないよ”

“暖かければ暖かいだけパラダイスに近づけるんじゃないの?”

 

大仏さまは黙ったままです。

 

“僕のせいで、僕のせいで、世界が滅ぶ…”

 

深く反省したとき、大仏さまがそれを察し、助言をくれました。

“冷却大仏さまというお方がいます。”

くうちゃんはなんか少し救われた気がしました。

“なんですか、その冷却大仏って?”

 

“寝ながら世界を見守ってくださる大仏さまです”

 

“どこにいらっしゃるのですか?”

 

“それは分かりません”

 

“えっ、わかりませんって”

くぅちゃんは冷却大仏さまを自分で探すしかありません。

“ありがとうございました”

少しだけ元気な声で大仏さまにお礼をいい、走り出しました。

 

“あてがない…”

 

まるであてがありません。

今までは、雪が残っているエリアを探せば、大仏さまが見つかったのですが、

冷却大仏さまどこにいらっしゃるのか…

 

“とりあえず、砂漠にでも行ってみるか…”

あてはないが、少しだけ出てきた希望を頼りに旅にでかけることにしました。

 

 

 

“砂、砂、砂。”

“砂漠というのは地獄だな“

おもわず口から溢れます。

 

考えてもみてください、砂漠を旅しているペンギンを。

ありえない光景です。

 

“地球温暖化…”

“僕が引き起こしてしまった…”

“なんとかせねば…”

 

もうだめだ、

と思ったそのとき、

遠くの方でカミナリがなっているのを見つけました。

 

“あれ、思い返してみれば、いつも大仏さまのすぐ側で

カミナリがなっていたような…”

 

“カミナリのあるところに大仏さまがいる!”

 

くぅちゃんは走り出しました。

あのカミナリさまがいるところに大仏さまがいるんだぁ。

 

冷却大仏さまかどうかはわからないけど、僕はそこに行くしかない。

渾身の力をこめて走りだす。

あとのことなんかどうでもいい、ただそこに行くしかない!

 

走りました。

ペンギンの短い足で、全速力で。

 

 

 

何度か転倒し、気を失ってしまいました。

はっと、目を開くと、そこには

何人かの白いカミナリさまが心配そうに見ていました。

 

“やっと目が覚めたよ”

一人のカミナリさまがいいました。

 

“君のことはずっと見ていたよ。“

“いつか、気づくと思って…”

 

くぅちゃんは目が覚めて、キョロキョロあたりを見回しました。

“大仏さまは?”

 

くぅちゃんの目の前に、横たわって寝ている大仏様がいらっしゃいました。

“ああ、みつけた…”

 

薄れゆく意識の中で、おめでとう、おめでとう、の声が繰り返し聞こえたような気がしました。。

 

 

“カミナリさま、ありがとうございます”

正気なカミナリさまもいるのだなぁ、と思って、以前の自分を恥じました。

 

“カミナリさまは、大仏さまとともにある運命だと聞いたのですが…”

 

“我々は人間によって作られたのだよ”

“人間に?作られた?”

 

くぅちゃんは衝撃を受けました。

カミナリさまは続けます。

 

“大仏さまを動かすには膨大な電気がいるのはご存知でしょう“

“人間たちはその膨大な電気を作る機械を作らねばならなかった”

“機械は10数年で壊れるものだから、後世に残すことはできない”

“そこで人間は生体電気を思いついた”

“カミナリ族が滅ばなければ電気は発生し続ける...”

 

“ごくっ”

くぅちゃんは唾を飲みました。

人間ってどこまで、どこまで凄いんだろう。一体どこまでの科学力を持っていたんだろう。

 

“いわば”、電気ウナギの凄いものみたいなものよ、我々は“

カミナリさまは、すこし自嘲しているようにもみえました。

 

そうまでして大仏さまを後世に残す意味はあったのだろうか?

人間の文明が終わることを想定していたような気さえします。

 

“さ、さ、早く冷却大仏さまを起動しなさい”

カミナリさまに促されながら、くぅちゃんは起き上がりました。

 

“冷えろ、冷えろ”

くぅちゃんは祈りながら、電気を充電しました。

冷却大仏さまがフル稼働しだしました。

 

 

“これで安心だ”

くぅちゃんは胸を撫で下ろしました。

 

“今度は冷えすぎて、寒波の時代に戻らないようにして下さいよ。”

 

カミナリ様に注意を受けて、

“はい”

と元気よく返事をして、そのエリアを離れました。

 

 

世界をパラダイスに変えるには、

普通の大仏さまと、冷却大仏さまの2体が必要かもしれないなぁ、

そんなことを考えていました。

 

 

冷却大仏さまのところに、普通の大仏さまを移築できないものか…

そうすれば、好きなような気温にすることができるし、あの心地よい光を浴び放題になる。

今度は花いっぱいの楽園にしよう。

そんなことを考えながら、くぅちゃんは故郷に帰っていったのでした。

 

 

 

こうして、くぅちゃんの旅は終わりました。

ペンギンたちは温暖な気候を手に入れ、食べ物も好きなだけ作り、頭の良くなる光線を浴びて永遠に繁栄することでしょう。

 

 

終わり。

 

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よろしくお願いします。

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